地域の情報

13年09月
ミュージアム・コレクション展2013「近世教育者の肖像」(玉川大学)

歴史上の人物は、それらの姿を伝える肖像の有無により、その人に対する理解や親しみにも似た感情に、大きな違いが出てきます。

江戸時代末期に輸入された写真術にその座を譲るまで、人物の姿は、絵画や彫刻によって残すほかありませんでした。
肖像は主に故人を偲ぶため、遺族・子孫・弟子等の依頼により作られるものでしたが、本格的なものは、応分の時間・技術と費用を注ぎ込んで制作されたため、肖像が作られたのは、ごく限られた宗教家、高い身分、権力や財産を有する名のある人物が中心でした。
そうした中で江戸時代の教育者、彼らは同時に学者・思想家・著述家で、また多くは武士階級であり、学塾の主宰者や、時には有力者の側近にある存在でした。
そのため学問上の師として尊敬の対象とされ、肖像が作られることが少なからずありました。

当館では、江戸時代の教育者の姿を視覚的にとらえることができるものとして、肖像画・彫刻を収集してきました。
美術史的な観点よりも、もっぱら教育史資料であることに重きを置いて収集したもので、無名の絵師等の作品であることも少なくありません。
しかし、これらの教育者の肖像の多くは、いずれも尊敬すべき師の姿を追慕礼拝するため、あるいはその学統につらなる証として、十分な敬意の下に作られたものと思われます。

このたびのミュージアム・コレクション展は、当館で所蔵する江戸時代から近代にかけて製作された、近世の教育者の肖像を集めて展示します。
本展では大きく、
1.江戸時代の学問の世界において、礼拝の対象とされてきた像
2.儒学、心学、国学、洋学など、様々な学問の学者・教育者の肖像
3.近代の国定教科書や歴史掛図等にみる近世教育者の肖像

の3テーマで構成します。
これらをご覧いただくことで、日本史や古典の教科書に名前の出てきた近世の教育者が、どのような顔かたちをしていたかを知り、無味乾燥な印象であった人物を、より立体的にとらえていただけることでしょう。
皆様のご来館をお待ちいたしております。

期間:2013年11月4日(月)~12月13日(金)9:00~17:00(入館は16:30まで)
場所:玉川大学教育博物館 第2展示室
詳細:玉川大学