モリモワタシモ

~さがみ湖 森・モノづくり研究所へのインタビュー~

私たちはSDGsについて考えていく中で、今後の自然環境に対し、若者には何ができるのか興味を持ちました。
そこで今回は「さがみはらSDGsパートナー」としての活動や、森の机事業などを行っているMORIMOさんにお話を伺ってきました。

ーMORIMOさんはどのようなきっかけでできたのでしょうか。

MORIMOの法人名『さがみ湖 森・モノづくり研究所』は一般社団法人ですが、始めは任意団体でした。弊社の近くに相模湖という湖があるのですが、2004年ごろ相模湖の水質はアオコが浮いていたりして、あまり綺麗ではありませんでした。そこで相模湖の商工会の中に洗剤委員会をつくり、2年程かけて地域の皆様や有識者などの方々とエコ洗剤を企画・開発し、その洗剤販売のために相模湖に会社を設立したのが、MORIMO創設のきっかけです。

相模湖の水質を守るために作った洗剤だったのですが、ここの水源は神奈川県の皆さんの飲み水にもなるので、森の水源林も守っていくことが大切なことを知りました。相模湖のすぐそばにある嵐山という山でNPO法人『緑のダム北相模』の会員の方々が間伐活動をしていますが、私も皆さんと一緒に森の中に入って木を見たときに、間伐した森としていない森の違いが一目瞭然でした。また間伐をしても捨て間伐と言う、間伐した木を山の中に置いてきているような状態が多くの山で起こっているということを知り、「これは勿体ないな」と思いました。

そんな中、商工会で「環境にいいことをしたい」と間伐材で何かをつくる案がでましたが、「デザインのいいものでないと絶対に売れない」ということで、デザインコンペを企画し、近所にある4つの小学校の子どもたちにもアイディアコンペに参加してもらいました。また2011年のUIA世界建築会議では、建築家の方々と震災後の日本をどのように復興させていくかなどの討論会も行いました。コンペの審査員を著名な先生方にお願いすることができ、5年間多くの方にご協力いただきながら開催することができました。

ー森の机事業について教えてください。

小学校にお邪魔した際に机の天板を見て、外材の合板だったことにとてもショックを受け、相模原市の市域の約6割が森林だというのに、これはありえないと思いました。

相模原市に協働事業提案制度というものがあるのですが、そこへ小学校1年生でもらった天板を6年間使い、最後は卒業証書のようにプレゼントするという案を提案し、それが採択されました。また、小学校の総合学習の時間の中で森林について学んだり、嵐山での間伐体験をしてもらったり、環境学習の一環として様々な活動に取り組んできました。これらの取り組みが環境省の「協働取組加速化事業」に採択され、それをきっかけに本格的に天板づくりが始まりました。

地球環境基金の助成を受けながら研究を進め、2017年からは従来の天板を地域の無垢の天板に取り替える「森の机事業」に市の教育委員会の事業として取り組んでいます。今までに35校、4,400枚の天板を取り替えたのですが、現在相模原市には公立の小学校が72校あり、それをこれから十数年かけて取り替えていく予定です。林業や造園業の方が伐採した木を製材して、それを自然乾燥させ、低温乾燥で水分が1割以下になるまで乾燥させます。それを市内の藤野にあるMORIMOの木工所で加工し天板を作って、小学校の皆さんに届けています。このように森の机を通して相模原市の中ではまだ小規模ですが、サプライチェーンが構築されています。

MORIMOさんが作った机の天板を使っている小学校の子どもたち

ー2015年頃からMORIMOさんのSDGsの活動が徐々に始まっていったと伺ったのですが、取り組み始めたきっかけは何ですか? 

MORIMOでは小学校の天板取り替え事業を、SDGsが始まる3年前から相模原市と協働で行ってきました。伐採した「さがみはら津久井産材」の木を使って天板を作り、子どもたちに森を知ってもらうきっかけづくりをしています。このような活動をMORIMOだけではなく、森林組合や森林インストラクター、NPO、地域のみなさんと一緒に取り組んできたことを評価頂きました。2015年から環境省のSDGsへの取り組みが本格的に始まるわけですが、最初はMORIMOも皆さんと同じように「SDGsって何?」といった所から始まりました。ですが色々な活動を行っていくうちに、MORIMOが取り組んでいる環境活動こそが持続可能な取組みであることが分かってきました。

ーMORIMOさんは相模原市のSGDsパートナーに入られているということで、様々な連携企業さんとの関わりもあると思うのですが、具体的な活動内容をお聞きしたいです。

SDGsのパートナーは約600社あるのですが、多くの方が環境活動に関心を持っています。取り組み内容こそ違いますが、同じ方向を向いて活動しているのは嬉しいです。

現在行っている取り組みの例として、藤野電力さんと移動式太陽光パネル「CORODEN」の協働開発をしています。電気のないタンザニアの人たちのために、日本から現地訪問し、電気の作り方指導などをしたり、月に1回藤野でもWSをしています。

津久井やまゆり園の事件をきっかけに「共に生きる」という言葉をテーマに考えて活動しています。『社会福祉法人アトリエ』(以下、アトリエ)の方たちとコラボし、鉛筆作成やSDGsのバッチを袋に入れる作業をして頂いています。他にも、SDGsのパートナーになった際に市長から贈られる盾も、アトリエの皆さんが箱に入れて相模原市役所に納品してくれています。山梨県の丹波山村では、MORIMOが企画・製作した商品を道の駅で販売しています。その中の商品例の1つとして、スギ材で作ったパズルがありますが、軽くて触り心地が良いと好評です。子どもたちは遊びながら組み合わせることによって立体の認識ができ、年配の方には脳トレ効果が期待できます。これからもパートナー企業の皆さんと、木を使ったコラボ活動をしていきたいと思っています。

 

ミウルの森のパズル

ーここまでSDGsについて話していただいたのですが、それを通して若い世代に伝えたいメッセージはありますか?

環境学習で小学校に行った時に、子どもたちから「木って伐っていいの?」という質問をされることがよくあります。もしかすると皆さんにもそういう認識があるかもしれませんが、伐採期を迎えている木は伐って、今後植林をしていくことが大切です。そのため、若い世代の方々に「木を使うことが森を守ることになる」と伝えたいです。

ー私たちが木を使って森のためにお手伝いできることはありますか?

例えば、端材もデザイン力で素敵なものにかわります。相模原市は市域の約6割が森林なので、木を使って様々な需要に答えるために、デザインや企画力でモノづくりをしていきたいです。大学生の皆さんと一緒に作り上げていけたらいいですよね。

ーありがとうございます。確かに、先ほど見せていただいたパズルなど、木の温かみが伝わってきました。それを木のインテリアなどで自分の家でも感じられたら生活が豊かになる気がしますし、大学生が、具体的で実現可能なデザインを出せたら良いですよね。

大学生の皆さんはユニコムプラザさがみはらなどで企画や展示等をしていますよね。ユニコムプラザの方からも、これから大学生とMORIMOでコラボしたらどうかというお話しをいただいているので、皆さんと何ができるか考えていけたら嬉しいです。 MORIMOがモノづくりを始めて、2月27日で8年目に入りました。今後はモノづくりの他に、森づくりの活動もしていきたいと思っています。串川の「土沢の森」は、NPO法人『自遊クラブ』の皆さんが間伐をしています。子どもたちが体験学習できる森に、若い世代の皆さんに間伐のお手伝いや、これからどのような森にしていくかなどの森林計画など、力を貸していただきたいです。私たちも今年度から一緒に参画しようと思っているので、モノづくり森づくりの両方で、大学生の皆さんと協力できたら嬉しいです。

ーそういった活動は、私の周りにもやりたい人がいますし、私自身機会があったら参加したいです。

森に来ていただけたらよく分かりますが、そこにいるだけで幸せになれるんです。ぜひ遊びに来てくださいね。

MORIMOさんはこれからの日本の林業が、発展又は復活していくにはどのようにすれば良いとお考えですか。

日本の山は傾斜が激しく、相模原市の山も同様です。そのため、路網と呼ばれる木をおろすための道を整備することがすごく大切になってきます。平成31年から施行されている「森林環境譲与税」で、路網の整備ができるようになります。また、山林所有者が自分の山がどこまでだったか分からなかったり、山を持っていた方が亡くなったりして結果的に管理が行き届かなくなった山に対して、経営管理ができるようになるようです。

あとは、若い人の力が足りなさすぎます。昨今、社会問題化しているように林業でも高齢になり辞めていく方が多いです。また製材業の高齢化も進んでいて、製材してもらっている近くの製材所は昔は4つあったのですが、そのうち1か所は廃業をしてしまいました。そのため若い皆さんに森に来てもらって、ボランティア活動や実際に仕事をして頂けたら嬉しいです。とにかく、まずは森に来て森に対して興味を持ってほしいと思います。

ー今後取り組まれてみたい活動などございますでしょうか。

昨年は色々な企業とコラボさせて頂きました。例えば渋谷の鍋島松濤(なべしましょうとう)公園に公共トイレを設置するプロジェクトで、建築家の隈研吾さんとコラボさせていただきました。隈さんが、個室の中の木は表情のある木を使いたいとのことで、MORIMOの「バタ材」と呼ばれる本来は薪になる皮付きの木材を使ってくださいました。世界的に有名な隈さんに表情のある木として「さがみはら津久井産材」を使っていただいたことはすごく嬉しかったです。本来は薪になるような木材でも有効利用できる可能性を感じました。

また、アリオ橋本の中にトヨタさんのブースが新しく出来たのですが、その中にあるカウンターは小学校の机天板製作時に出るラミナ材の端材で、素敵なカウンターをつくることができました。また、椅子なども机の天板製作時に使用されなかったものを再利用して作りました。このように本来ならば廃棄処分されてしまうものが、皆さんに見ていただける場所に使われたというのは嬉しかったです。このように様々なところで廃棄される木材が再利用されることで、その分だけ木をたくさん使うことができるようになると感じました。

他にも最近では、藤野駅の近くに『森のイノベーションラボFUJINO』(以下、森ラボ)という施設ができました。ここは元々、市の会議室棟だったところをワーケーションの需要が見込まれるということから、テレワークセンターにリメイクしたところです。ここでも、「さがみはら津久井産材」が使われ、ウッドデザイン賞をいただけたことは励みになりました。また、今までMORIMOの活動を知らなかった方々に森ラボを通して広報できるようになったこともとても嬉しく思っています。

これらの経験から、これからは相模川流域の川上と川下の人たちがつながっていく活動もできたらと思っています。というのも最近、川下に当たる地域の皆さんから「さがみはら津久井産材」の木を使って何か取り組みたいと声をかけて下さる方が増えてきました。相模川流域の川上から川下の皆さんとのパートナーシップで、サプライチェーンを構築していきたいと思っています。 最初は水質を守るために始まった私たちの活動が、モノづくりだけでなく、森づくり、人づくりなど、地域の皆さんとパートナーシップの力で一緒に取り組んでいくことができるようになり、とても嬉しく思っています。

今回のお話を聞いて

ー私は大学でプロダクトデザインについて勉強させていただいているので、MORIMOさんが取り組まれている製品のデザインにとても興味を持ちました。

そうなんですね。こんなデザインあるよ!と言ってくださったらぜひ一緒に作ってみたいので、興味あったらご連絡していただけたら嬉しいです。

現在たくさんの企業さんから様々な依頼をいただいているのですが、モノづくりの方で忙しくてなかなか対応しきれていないのが現状です。そこで若い皆さんからの「こんなのあったらすごく便利なのに!」という意見や、企業さんからの依頼に対して「こんなアイデアあります!」みたいなのがあったらぜひ提案していただいて、こんなの作れたら面白いねみたいな話をすることができたらとても良いかなと思います。

MORIMOさんの木工所

最後に

学生たちが集まって地域を良くしようという活動をしていらっしゃる、さがまちの皆さんと何かコラボできたらとても嬉しいです。

皆さんにも興味とか関心を持っていることが色々あると思います。その中でも木のことや木工のことなどの森林に関することに興味がある方がいらしたら、さがまちさんと一緒にお話する機会を定期的に設けることができれば、とても有意義な時間になるのではないかなと思います。今はコロナウイルスの影響もあってリアルで会うのはなかなか難しいですが、コロナが落ち着いたらぜひMORIMO木工所に皆さんで遊びにいらしてください。

MORIMO 公式WEB:https://morimo.amebaownd.com/


記事製作者:さやなつ

全体メンバー:さやこうちゃイノシンとーすとなつ

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