相模原の特産品といったら、あなたは何を思い浮かべるだろうか。今回は相模原市緑区藤野の特産品である「ゆず」商品を製造している「有限会社ふじの」さんを取材した。

藤野の特産品「ゆず」商品

「有限会社ふじの」は藤野のゆずを加工した商品を開発しており、なかでもゆずポン酢「ゆずの尊」は果汁をたっぷり使い、無農薬ゆずを厳選するなどのこだわりによって、リピート率の非常に高い人気商品となっている。
「一度食べればまた食べたくなる味」をめざしたこれらの商品は、口コミで評判が広がり、今ではすっかり藤野の特産品という地位を築き、地元の人々にも愛されている。

「有限会社ふじの」設立経緯

そんなゆず商品を作る「有限会社ふじの」の創業のきっかけは、平成6年に藤野町商工会が町の活性化のために、藤野にどんな資源があるかという調査をした際、藤野にはゆずがたくさん実っているということを発見し、それをなんとか商品化できないかと考えたことから始まっている。その後、試しに「ゆずワイン」を作ってみたところ評判が良かったため、まちおこしを担う会社として事業を本格化させ、「有限会社ふじの」が設立された。まさに地域に根ざした会社なのだ。


製造過程

どうやってゆず商品が作られているかも気になるところだ。まず「有限会社ふじの」が地元農家からゆずの実を買い取り、加工場において原材料となる果汁を搾り取る。大量のゆずを一気に絞らなければならないので、ゆずの収穫期の11月中旬から12月中旬にかけては搾汁作業に専念し、絞った果汁は全て冷凍保存しておく。そして年間を通し需要に応じて商品の製造を行うのだ。主力商品の「ゆずの尊」は昨年で約12000本が生産された。


事業拡大のために乗り越えなければならなかった課題

平成18年11月、旧藤野町と県の補助を受けて加工場が設立され、特産品の製造で原材料となるゆず果汁を自前で絞ることができるようになった。これは今まで抱えていた生産の問題を解決する念願の設備であった。当初はゆずの収穫・集荷作業は商工会員自らの手で行い、搾汁を外部の加工業者に委託するという形をとっていた。ここで問題だったのは、専門の加工業者に頼むと他の果実の搾汁も行うため、ゆずを絞ったときに香りが強く残ってしまい、洗浄や脱臭などに多くの手間がかかってしまうことだった。そのため何日も続けて作業を行うことができず、指定の搾汁作業予定日に合わせて集荷作業を完了しなければならなかった。さらに、ゆずは傷がつくと腐敗しやすいため、収穫してから長期間取り置きしておくことができなかった。これらの理由から、収穫期間が極めて短期になってしまい、収穫が追いつかないという問題があったのである。この加工場ができてからは、農家の方が収穫して持ってきたゆずを順次絞っていくことができるようになり、ゆずの主な収穫期である11月から12月にかけての約1ヶ月の間で集荷作業が可能になったのである。


収穫

高い木についた実ははしごに上ってとる。
鋭いとげもあるため、収穫はなかなか大変な作業だ。

生産量が増えるにつれ、原材料であるゆずの収穫量の確保も課題になる。これについては、平成17年度に県の事業で新たに1000本の苗木が植樹された後、地元の人による苗木の購入も毎年200本規模で続いており、ゆずの里藤野に順調にゆずの木が育ってきている。
実は、昔から藤野に植えてあったゆずの中には10m以上の高さになったものも多く、せっかく実っても収穫できないまま放置されてしまう実も多いのだ。新しく植えられるゆずの木は収穫しやすいように、平地に植えられ、りんごの木のように低木として育てられている。


ゆずに残された未知の可能性

特産品製造に用いるのは主に熟した実の果汁。しかし、一個の実からとれる果汁は全体の2割程度しかない。果汁を搾った後に残ったゆず皮や摘果した際の青い実(青玉)などの未利用部分を今後うまく活用していくことが、残渣の廃棄量を減らしたり、農家に利益をより多く還元するためには重要である。これらの部位の商品化について現在様々な方法が検討されている。


「有限会社ふじの」活動理念

「有限会社ふじの」はまちおこし会社としてスタートしたが、これからもずっとまちおこし会社であり続けるという信念を持っている。安藤社長はこの事業で一番大事なことは「地元商店さんと農家さんがゆず商品に関わってきてよかったと思ってくれること」と語る。利益よりも地元商店、農家と共に成長していく姿勢を大切にしている。

笑顔がとても印象的な安藤社長。そのモットーは「どんな小さなアイデアでも有り難く頂く」。謙虚な姿勢と堅実な経営により有限会社ふじのの活動を支えてきた。

1:「有限会社ふじの」が農家からゆずを買い取ることで農家が潤う。
2:加工したゆず商品が売れることで、商店が潤う。
3:ゆず商品の販売が増えることで、ゆずの収穫量の拡大につながる。
このサイクルにより地域が活性化していく!


「有限会社ふじの」のこれから

「有限会社ふじの」では今まで旧藤野町内の商店による販売がほとんどであったが、最近更なる増産の足場が整ったため、シェアの拡大を考えている。神奈川県内のイベントへの出品やフェイスブックの開設などによる積極的な情報発信を行い、相模原・町田地域を始めとして徐々に商品を広めていきたいという考えだ。今後も活動の展開が気になる「有限会社ふじの」である。

終わりに

ゆずは馴染みの深いものだと思っていたが、取材をしてみて今まで知らなかったことがどんどん見つかり、ゆずの奥深さを感じた。また、実際に行われているまちおこしのリアルな姿を見ることができたように思える。この記事を読んで、あなたの地域の特産品がどのようにして作られているのかについて興味を持ってもらえたら幸いである。

インフォメーション

「有限会社ふじの」の商品は
こんなところで買うことができます

藤野観光案内所ふじのね(JR藤野駅前)
〒252-0184
神奈川県相模原市緑区小渕1702-3

ボーノ相模大野内
さがみはらアンテナショップsagamix
〒252-0303
神奈川県相模原市南区相模大野3-2

その他販売取扱店一覧やネットショップの情報など詳しくは「有限会社ふじの」ホームページへ
http://yufujino.web.fc2.com/index.html

商品ラインナップ

他にもこんなゆず商品があります

ゆずワイン
ゆずこしょう(赤、青)
ゆずジャム
ゆずシャーベット


取材・文 間野/弓削/渡邉/井上 真/安本