知る街から知られる街へ

― 私、大野ジェントルと申します。本日はよろしくお願いします。
田中「相模大野宣伝部広告制作課イベント・PRチーム代表の田中です。よろしくお願いします。左から市川、高柳、須田、田中、佐東の5人でお答えします。」


― それでは早速ですが、そもそもなぜ相模大野宣伝部に入ろうと思ったのですか?
市川「私は小学生の頃からずっと相模大野に住んでいますが、商店街が前より覇気がなくなって、私の高校時代からどんどんとお店が潰れてしまいました。なすがままに勝手に衰退していくのも嫌ですし、相模大野という街の良さを再認識してほしいという想いもありました。それを多くの人に伝えられれば、活気を取り戻し、いい街になるのではないかと思い、相模大野宣伝部に入りました。」

高柳「私は元々街づくりに興味があり、ほかの地域でも活動していました。地元の相模原でも街づくりができないかと思っていたところ、友人に“相模大野宣伝部”という活動があることを教えてもらい、参加しようと思いました。」

佐東「私は地元を中心に地域活動を行っており、今までは自分たちが他の地域のイベントに出て、地域を盛り上げていました。今度は自分たちの手でイベントや企画をプロデュースして盛り上げていきたいと思い、宣伝部に入りました。」


― 相模大野宣伝部では最初にワークショップを開き、その後5つのチーム(イベント・PR、グラフィック、映像、音楽、ゲリラ広告)に分かれましたが、なぜみなさんはイベント・PRチームに入ったのですか?
高柳「私は正直に言うと、最初からベンチ制作がしたいと思っていました。ベンチ制作ができるのはどのチームだろうと考えて、イベント・PRチームに入りました。」

田中「そうだったんですね! 確かに、凄くベンチのことに詳しかったですよね(笑)」

高柳「自信があったんです。チーム分けされる前に、ワークショップで【相模大野ってどういう街なんだろう】ということを考えるフィールドワークを行いました。そこで、相模大野のいいところとして『街にベンチが多い』ことが挙げられており、『ベンチを作るしかない』と思いました。それで、ベンチ案を推していました(笑)」

須田「私はワークショップの時に、相模大野のイベントを調べていました。その時にもんじぇ祭りやジャズイベントなど、相模大野にはたくさんのイベントがあることを知り、そのまま引き継いでイベントをやりたいと思ったので、イベント・PRチームに入りました。」

佐東「多くの市民のみなさんが相模大野宣伝部に参加する中で、私は地域活動の現場での経験を活かし、現場の目で、イベントが成功するまでのアドバイスが出来ればと思い、イベント・PRチームに入りました。」

― みなさん色々な想いを胸にイベント・PRチームに入られたんですね!


伝説のベンチを目指して

― 『相模大野にはベンチがたくさんある』という発見がベンチ制作のきっかけということですが、この企画に決定した決め手は何ですか?
田中「山形県にオリジナルベンチの制作の前例があり、実現のしやすさがポイントでした。また、子ども達が集めたデザインがベンチになるということが、みんなでやっているという感じがしていいな、と思いベンチ制作を行うことになりました。」

― 地域の人を巻き込んで、ひとつのものを作り上げることができますもんね。
佐東「ベンチの制作を行い、発表する場があるという過程が一番よかったのだと思います。」

田中「bono相模大野の屋上庭園という発表する場があったのも大きいですよね。」

市川「ベンチというのは他では中々ない企画ですし、差別化を図るためには一番良かったのだと思います。」

田中「私たちの作ったベンチが長く残る、シンボルのようなものになれば嬉しいですよね。」

市川「子ども達が大人になったときに、『これ、俺がデザインしたんだぜ』というのが土着心に繋がっていくと思います。イベントが一過性になることなく、『そこに行けばそのものがある』というのは強い思いになるので、そういった意味でもいい企画だと思います。」

高柳「それは、大事なポイントだと思います。他のイベントや広告ですと、一瞬で終わってしまい、子ども達の記憶にあまり残らないかもしれません。それが少し怖くて。ずっとそこにあるというのは、そういった意味でとても重要だと思います。私たちだけではなく、子ども達を巻き込んでいけるところも、凄く良かったですね。」

― 子ども達からベンチ案を集めたということですが、一般の方からも集めたのですか?
市川「一般の方からも集めました。」

― どのくらい集まったのですか?
高柳「約270枚集まりました。小中学生を中心に、学生から200を超える応募があり、残りは大人の方からでした。」

須田「大人の方はデザイン性が高いですが、子どもさんは個性豊かで色使いもきれいですし、大人では考え付かないようなデザインを描いてくれて、とても面白かったです。」

高柳「選んでいるときはとても楽しかったですよね。」

― 選考の基準はどのようなものだったのですか?
須田「デザイン性、実現性などの基準が一応あったのですが、最終的には自分がいいなと思ったもの、bonoに合いそうなものを選びました。」

田中「普通のデザインですと、既にあるベンチと同化してしまうと思ったので、インパクトがあるものを選びました。」

高柳「私たちが選んだのは30~40枚程で、インパクトがあるかと相模大野に合っているかという視点で選んでいきました。その中から、最終的には4枚が選ばれました。選ばれた案は市役所にも展示されていました。」

― 4枚に絞ったのは、イベント・PRチームの方ですか?
高柳「いいえ。野村不動産の方と家具メーカーの方に実現性を考慮して選んでいただきました。最終的に選ばれた4枚のベンチ案はこちらです。」

― ベンチの制作を通して大変だったことはありますか?
田中「最初、案が3枚しか集まっていないと聞いた時はとても焦りました。そこから街の方々への告知がとても大変だった点だと思います。」

― その告知というのは、どのように行ったのでしょうか?
田中「相模原市内の学校をまわって描いていただくよう頼みました。また、知り合いのお店に、応募用紙を置けないかと声をかけてみると、みなさんすごく協力的で、呼びかければ応えてくれることが非常に助かりました。」

高柳「応募締め切りの1〜2週間前まで20枚程しか応募が来ていなくて、やばいなと思っていました。しかし、イベントチームのメンバーが地域と関わりのある方ばかりだったので、それが力になり、最後の1~2週間だけで250枚程集まりました。兄弟や親子で描いてくれているものもあり、それを見たときは嬉しかったですね。」

― 告知を通じて、相模大野の魅力が分かりますね。では、ベンチをどのように市民の方に使っていただきたいですか?
田中「憩いの場になってほしいですね。」

須田「あと、記念撮影にも使ってほしいですよね。」

佐東「座ったらカップルになれる伝説が生まれたら面白いですよね。デザインによってテーマが違うので、それによってまた違う伝説が生まれればなと(笑)」

高柳「あとは、この募集をする際に、絵だけではなくこのベンチ案への想いや、相模大野に対する想いを書いていただいたので、実際にデザインを描いた人と一緒にどういう伝説を作っていきたいか話し合ってみたいですね。」

佐東「ベンチのデザインは本当に色々とありましたよね。潤水都市にちなんで、水がはねたようなデザインもありました。」

市川「ロマンスカーや自然、鳥、花などのデザインもあり、相模大野に対して人それぞれの想いがあるのだなと思いましたね。相模大野への想いが形になったベンチが憩いの場になったら素敵ですよね。」


相模大野の魅力、再発見

― 宣伝部に入る前と今では、相模大野の印象は変わりましたか?
市川「相模大野のことを想っている人がこんなに多いんだと率直に思いました。」

高柳「宣伝部全体を通して、ワークショップに他の都市では考えられないような人数が集まったので、すごく愛されている街なんだなと感じました。本当に良い街ですよね。」

須田「大学に通うためだけに来ていた街でしたが、この活動を行うようになってからは、いいところがたくさん目につくようになりましたね。今まで知らなかったことも知り、この街って面白いんだなあと思いました。」

― 学校の行き帰りに、色んなところに注目しながら街を歩いたりされますか?
須田「違う道から帰ってみるようになりました。商店街も最初はどんなお店があるのか全く知りませんでした。ワークショップを行った時に初めて行きましたが、こういうお店があるんだと驚きました。相模大野は本当に色んなものがあるなと思いました。」

高柳「それは、とても大事ですよね。今まであまり街に興味がありませんでしたが、こういったイベントやワークショップをきっかけに、相模大野の街に出かけるようになったのは自分の中でも大きな変化ですし、みなさんにとっても良かったのではないかと思います。」

佐東「今回の活動は、社会人の方や学生の方まで幅広く参加しており、大野は変わるんじゃないかと思いました。こんなにも多くの方が関心を持って、自分の街を良くしたいと思っていることに驚きました。」

田中「相模大野のおじいちゃん、おばあちゃんも自分の住んでいる街を良くしたいという想いを持っており、若い自分たちも頑張らなきゃいけないと思いました。こういう方々がたくさんいるので、大野がさらに好きになりました。」

高柳「おじいちゃんおばあちゃんだけではなく、若い方も多く参加しており、とても活気がありますよね。」

― ベンチ制作を通して学んだことは何ですか?
市川「野村不動産などの民間企業に対するイメージが変わりましたね。やはり営利目的というイメージで、ディベロッパーさんが一緒に街づくりをするという感覚が今までほとんどありませんでしたから。これからも行政・民間・市民が一体となった取り組みが広まると、相模大野はもちろん、相模原が良い街になるのではと思っています。」

田中「やはり、相模大野の良さが倍以上に見えたということですね。あたたかい街だなと改めて感じました。」

― それって大事ですよね。自分がいつも通っている学校がそういう場にあることは嬉しいですよね。
田中「地域の方と話すことは今までほとんどありませんでしたが、この活動でお世話になったお店に行って、お店の方から、ありがとうね。と言われると、やって良かったなと感じます。そういった活動は、やはり大事だなと思いました。」

佐東「私は、関心をもってワークショップに参加したことで、たくさんの学生さんに出会うことができました。学生さんのパワーってすごいなと思いましたね。ベンチの完成がゴールではなく、これからも続いていくような形で若い方達にもどんどん入っていただき、盛り上げていきたいです。」

田中「ベンチをもっと増やせるのであれば増やしていきたいですし、宣伝にも力をいれていきたいと思っていますので、みなさんで頑張っていきましょう。」

須田「頑張ってベンチを作ったので、座ってくださると嬉しいです!あとは、座っていただくみなさんに都市伝説を作ってほしいですね(笑)」

― 完成したベンチはbono相模大野屋上庭園で実際に座っていただくことができます。あなたも、座って都市伝説をつくりませんか?みなさん、本日はありがとうございました!


取材・写真・記事(紺田 / 辰巳 / 亀井 / 鶴見 / 北澤)