取材・文 赤塚/古橋/濱田/彦根 2012.813hey boy

今回お邪魔したのは相模原市緑区丹沢山麓で給食パンから惣菜パン、さらにはりんごパイまで多種多様のパン製造を手がけるオギノパンさんの本社工場です。
こちらの製パン工場では工場見学のほか直販店でパンを食べられるという情報をキャッチ!

食べ物に目がない編集員は早速取材に行くことにしました!(笑)

橋本駅から国道413号と県道510号を西に、串川橋交差点から国道412号を南下すると赤い三角屋根が目印のオギノパンさんが見えてきます。

観光バスも来るという駐車場は広々としていますので、車で来ることをおすすめします。(他の交通手段はほとんどありません)

住  所:神奈川県相模原市緑区長竹2841
営業時間:9時30分 〜 18時30分
     年中無休
Tel:042-780-8121
Web:http://www.ogino-pan.com/




さっそく編集員は工場・・・ではなく、あげぱんをいただくことにしました(笑)荻野社長自らおすすめしていただいたあげぱんは、外がサクサクの、中がもっちもち!

「あげぱんってこんなにおいしいの・・・!?」

あげぱんに驚く編集員一同。着いて早々驚きました。それもそのはず。こちらのあげぱん、神奈川B級グルメグランプリ二連覇してるんです。工場の前にも「金賞受賞V2」の文字が!(・・・「V2」の文字が詰まってる気がするのは気のせいです)
皆さんも揚げたてのふわふわをご賞味あれ!
つい横道にそれてしまいましたが(むしろまだ始まってない)、ここから本題の工場見学です

「はい!ここからはクリーンエリアだから!」といって渡されたかっぽう着。しかもそのかっぽう着の表面を粘着テープでコロコロして、手をしっかり洗ってから・・・おおっ!これはTVでよく見るエアーシャワー!!あの風がグオー!って吹き付けられる小さな部屋みたいなのですね。(写真で見せられないのが残念です。)徹底した衛生管理で外と工場内(クリーンエリア)を分けていました。

では、ここからパンの製造工程の説明です。
まず一つ目、ミキサーです。パンの生地を作るために小麦粉・砂糖・パン酵母・他を混ぜ合わせます。とっても大きなミキサーで、一度にあげぱん2000個分の生地を練り上げてしまいます。2000個って・・・毎日食べても5年半かかりますよ!?

おそるべしミキサーの能力・・・!!



練り上げた生地は加工しやすいように小さく分割し丸めの過程に入ります。

上から入れた生地の塊が、分割機の下からちぎられて出てきて、ベルトコンベアで丸め機へ運ばれます。

丸め機は本来手作業で生地を丸める作業でしたが、機械化したところこのような形になりました。
詳しく説明すると、手作業の場合生地を上から手で転がすところを、機械化の場合生地の下の土台を動かしてしまったんだとか。その土台が、あのぐるぐる回っているところで・・・

続きは動画でご覧ください(笑)



ここでは、分割して丸めた生地を寝かす工程です。生地を寝かせることで生地の傷つき、型崩れを防ぐことができます。この機械の中に入った生地が出てくるまで15分!写真映えを気にしていた編集員の想像を裏切って、ゆっくり大きく回っていました。

ちょっと複雑に動くタワーパーキングみたいなものでしょうか。車が生地で。出庫指示してから車が出てくるまで15分かかるタワーパーキング・・・



ここではプルファーでお休みしてしっかりした生地を、パンの形に成形する作業です。コッペパンの場合は細長い生地をプレートに置いていく作業になります。

と、ここは手作業なんです。
違うパンの場合はまた違う作業でパンの成形をしていきます。

話によると干支のパンがあるそうで、そのなかの羊に特に苦労したそうです。



成形を終えて、焼く・・・その前に、発酵の工程があります。

パン酵母を利用して上手に生地を発酵させることで、味、風味、食感、形などパンの品質を良くすることができます。発酵室はパン酵母が活動しやすい温度・湿度に保たれています。湿度は非常に高くカメラのレンズが曇るほどです!

おいしいパンになるために熟成している感じですね~



発酵を終えた生地を焼き上げる工程です。
大量にパンを焼くためオーブンはトンネル状になっています。こちら側から入れたパンが長ーいオーブンを通っているうちに焼け、向こう側から焼き立てが出てくる仕組みです。

動画で見ても長いですねー

ちなみに!どのくらい大量に焼けるかというと・・・1時間に4000個です!!

4000個といったら、1日3個、三食に分けて食べたとしても、3年半もちます!3年半パン尽くしの生活ができる量のパンを1時間で焼き上げるとは・・・!



焼けたらはい終わり!というわけではありません。パンは袋詰めして初めて商品として給食や市場に出せるのです。
ここでは、焼いたパンを袋詰めできる程度まで冷まします。

約30分かけて螺旋状に少しずつ傾斜を降りていき、パンを冷まします。たくさんのパンを眺められる、編集員もおすすめの見学スポットです。

真ん中に入ったらどんな景色だろうとか、乗ってみたら自分でも30分かかるのかな?とか、興味の尽きない工程でした。



この工程では冷ましたパンの仕上げと、梱包の作業をします。まず、冷ましたパンはベルトコンベアに乗った後、ターンテーブルに乗ります。ここではパンに異常がないか、形、焦げの有無も含めて人の目で1つ1つチェックします。微々たる焦げも取り除くことでパンの均質化を図っています。
そして審査に合格したパンは、包装機に送られ、一瞬の内に包装とシール貼りを終えて出てきます。まさに神業。1時間に4000個包むその雄姿をしっかり動画で見ておいてください。

と、このシール貼りが終わると完成!!ながい過程と多くの人の手を経て学校給食のパンができているんですね。

ちなみに4000個というと、1つのクラスが30名、1学年4クラスとして、およそ5校分の学校給食のパンを1時間で包装してしまうことになります。オギノパン工場やっぱりすごい設備です。



工場見学を終えた編集員は荻野社長へのインタビューを決行。

B級グルメ二冠からみるおいしさへのこだわりについてお尋ねしました。

荻野社長が「おいしい」と思ってもらうために大切にしているのが、この「3度おいしい」という考え方でこれがフードバトルの優勝にもつながったとおっしゃっています。
三度とは?一度目はパンを「見たとき」、二度目はパンを「食べたとき」、そして三度目は「思い出したとき」だということです。「3回美味しくないと、その商品はなかなか長続きしない。忘れたころに『食いてーな』って思うと足が向く」「かみついてすぐ美味しい商品はよくある。でも食べきっちゃったら『もういいや』ってのもよくある」ほんとうにおいしいものは思い出してまた食べたくなる。これが荻野社長の考えるおいしさなのです。

三度おいしいものには、他にはない良さ・違いが必要だとおっしゃっています。フードバトルのあげぱんにはその考え方は生かされていました。いつも普通のあげぱんを食べている人に揚げたてのあげぱんを食べてもらう。そうすると、「食べたことのない味」として印象に残る。そんなサプライズが何度も食べたくなるあげぱんを作り上げ、二冠の達成につながったのです。

オギノパンではもちろんあげぱん以外の商品でも「三度おいしい」工夫がなされています。惣菜パンは具ではなくパンが主役だとおっしゃる社長。直営店で提供されている惣菜パンのパンは当日の朝に焼きあがった朝焼きのパンを使います。惣菜パンの「パン」が他とは違う。三度目の「おいしい」はそんな風に提供されているのです。

工場を見学して、お話も聞いて、すかっりお腹が減ってしまった編集員一同。(あげぱんはすでに消化されてます。)
お話を伺うだけではもったいない!ということで、工場併設の直営店でパンをいただくことにしました!

店内にはところせましとたくさんのパンが並んでいました。

と、そこでトレイを見ると・・・
お!給食で使ったトレイです。さらに店内も学校机が棚になっています。給食パンを手がけるオギノパン独自のデザインですね(実は、工場にお金を使ってしまい、あまりお金が無い中、直営店を教室案で装飾したのは荻野店長なんだとか)

お、アンケートにもしっかりコメントが!
お客さんの言葉も大切にしているのですね。

見ればわかるようにそれはもうたくさんのパンがあったのですが、「特においしかった!!」というパンを編集員の独断と偏見で決めさせていただきました。
(結局全部おいしかったんですけども)

まず一つ目。オギノパンの看板商品の、丹沢あんぱん!
ただのあんぱんではありません。丹沢山地をイメージしたちょっと盛り上がった形、持ち運びに便利な小さめのサイズ、などなど目にも楽しい、食べる人のことを考えたあんぱんなのです!
小さいおかげで味の比較もしやすい。取材にもやさしいあんぱんでした。

こちらの店舗では約10種類が勢ぞろい!
皆さんも食べ比べてみては?

次は、パン屋さんの定番、カレーパン!
でも、ただのカレーパンではないんです。うまみと辛さにこだわったルーがぎっしり入った、その名も「まじ辛ぇパン」一口かじると・・・辛い・・・辛い!!!まじで辛い!
さすがまじ辛ぇパンの名前を持つだけはあります。食欲のない夏に食べれば嫌でも食欲回復しそうですね!

ちなみに普通のカレーパン「カレードーナツ」もあります。

最後のご紹介は、ちょっと質素な雰囲気の米粉パン。こちらのパンは名前の通りパン生地に米粉を使用しています。最近の流行ということもあり、スーパーでもよくみかける米粉パンですが、実は作るのが大変なのです。
そもそもパンは焼いた時に生地が膨らまなくてはパンになりません。ですが、米粉そのものにはパンが膨らむのに必要なグルテンが含まれていません。米粉パンを作る時には生地にグルテンを混ぜ合わせることで膨らませているのです。
努力の結晶の米粉パンは米粉に含まれるデンプンでほんのり甘く、またグルテンが少ないため口に含むと柔らかく消えるような、そんな不思議な食感でした。

さいごまでお読みいただきありがとうございました。

オギノパンの工場見学いかがだったでしょうか?
工場見学の楽しさと、パンのおいしさが伝わっているといいのですが・・・

皆さんもぜひ、楽しい工場見学を体感しに、できたでほやほやのあげぱんを食べにオギノパン本社工場、併設のパン直売店に遊びに来てみてください!

きっと、そのパンのおいしさに、工場の大きさに、そして従業員の方の元気に圧倒されてしまうでしょう。編集員一同がそうであったように。