FMさがみ
今年開局25年目を迎えるコミュニティFM放送局。エフエムHOT839の愛称で放送エリア相模原町田地域に根付いた情報を発信。災害時にも一日も途切れさせることなく地域の情報を放送する。
        
            平岩夏木さん
            エフエムさがみ代表取締役そして平日お昼の看板番組「とれたてランチボックス」木曜日のパーソナリティも務める。
          
今までと変わらぬの明るさを
2020年はエフエムさがみにとってどのような年でしたか?
平岩
世の中全体がコロナで始まってコロナが収束しないまま終わってしまった1年でした。
              パーソナリティとして、2020年の1月2月は注意喚起や感染者数などコロナの情報をとにかく流さなくてはと思っていました。
              ただ、コロナに関する情報は私たちが伝えなくとも様々なメディアから次々に皆さんの耳に入ってきました。
              そんな中、今一度エフエムさがみとしての在り方を考えた結果、何より気持ちが落ち込まない明るく今まで通りの放送を行うこと。これを心掛けて参りました。
            
具体的にはどのような番組を届けていましたか
平岩
休校中の子供たちに向けて「ラジオで朝の会」を実施しました。
              毎朝決まった時間に交代で相模原市の学校の先生お一人に出演していただき、自分の生徒達に向けて話しかけてもらうコーナーです。
              他にも今まで通りの卒業式が開催できずそのために練習していた歌も披露できない小中学校に対して、練習の際に録音していた卒業式の歌の放送も実施しました。
              エフエムさがみは放送局ですが相模原市の一つの企業でもあります。
              相模原の企業として放送を通して地元の役に立ちたいという気持ちが強くありました。
            
放送の反響はありましたか
平岩
保護者の方からは歌声を聞けてよかったという声を、
              子供達とは無関係な方からも子供たちの声を聞いてコロナ禍で滅入っていた気持ちが和んだという声が届きました。
            
他にも中止を余儀なくされたイベントなどをラジオを通して発信されてたりしたのですか?
平岩
4月の相模原市の一大イベント桜まつりも去年は中止になってしまいましたので、
              ラジオで桜まつり題して「エアー桜まつり」というものを開催しました。
              エアーはエアーギターのエア(実際はそこにないのにあるかのように振る舞う)とオンエアーのエア(電波)を掛けて名づけました。
              毎年桜まつりは鼓笛隊のパレードからはじまります。
              なので鼓笛隊の練習音源を流し、出店ブースを企画していた方たちには準備の過程のお話を聞いたり、
              ミュージシャンの方に生演奏を披露していただいたりと、桜まつりの情景が浮かび上がりその場で参加しているような気持ちになれる放送を2日間行いました。
              各々の場所で桜まつりに参加できる2日間でした。
            
ラジオが今できること
ー日ごろからパーソナリティとリスナーの間でメールやFAXなどのコミュニケーションが確立されているFMさがみに今年寄せられた街の声で印象に残ったものを教えてください。
平岩
送られてくるメッセージから皆さんがきちんと自粛なさっているということがとても伝わってきました。
              メールを読むことでお互いに励まし合い、「ひとりじゃない」という想いを共有できたのではないかと思います。
              あと、医療従事者の方への感謝の気持ち、この状況下で働いてくれている方に向けての応援のメッセージは日に日に増えていきました。
              そんな中「辛い」という声もやっぱり多かったです。
            
辛いという声にはどのように向き合っていたのでしょうか?
平岩
リスナーからの「辛いです」という気持ちを率直に放送する番組をはじめました。
              それは悩み相談でもなく、何か答えが出るものではないのですが、ただ自分の気持ちを呟いてもらうというコーナーです。
              そこには、頑張っているのに仕事がなくなってしまった。
              上京したのに学校に行けないバイトもみつからない。友達もいない。などたくさんの声が寄せられました。
            
辛い気持ちに陥った時、誰かに吐き出すことだけでも気持ちが少し楽になりますよね。
平岩
コロナの影響を受けて同じように辛い状況の方も多くいらっしゃると思います。
              ラジオから流れてくる誰かの想いを聞いて、「私だけじゃない。一人じゃない。」と思えることがとても大切だと感じています。
            
コミュニティエフエムの在り方
コロナ状況下で改めて感じた地域密着型ラジオ局の強みを教えてください
平岩
大手のラジオ局や他の映像メディア紙媒体等とは違って、コミュニティエフエムは強みはとにかくスピード感だと感じています。
              スピード感を持って新しい番組を生み出すことができるのが良いところです。
              神奈川県だけでもコミュニティエフエムはたくさんあります。
              それらのコミュニティエフエムの集まりの中でも特にエフエムさがみはスピードが早いと評価を頂いております。
              スピード感が地域密着型メディアの良さですし、地域が困っている所にピンポイントで合わせてコアな情報を発信することができます。
              最初に話したコロナ禍休校の学生にむけた「ラジオで朝の会」のコーナーも、すぐに市の方に相談し出演していただける先生方にお声がけをして1週間で立ち上げました。
            
地域と共に番組を作り上げているのですね
平岩
災害時などに、いつも聞いている声が流れてくると気持ちが落ち着くと言っていただくことが多いです。
              災害や大変な時にも地域に寄り添った情報を絶えず送ることを心掛けています。
              でも、私達パーソナリティこそリスナーの声に支えられています。
            
これからのエフエムさがみ
エフエムさがみの抱負を教えてください。
平岩
コロナウイルスが人の意識を大きく変え、社会は既に次のステージに進んでいます。
              エフエムさがみも変わっていかなければいけません。
              ラジオは以前、生活の中で知らず知らずの間に流れているものでした。
              ですが今はラジオに馴染みの無い方も沢山いらっしゃるし、ラジオ以外のメディアも沢山あります。
              そして最近だと音声配信アプリをはじめ、どんどん新しいものが出てきています。
              新しい時代は、わざわざラジオを聴いてくれるファンを獲得しなければならないと思っています。
              コミュニティラジオ局としては娯楽の他に地域の詳細な情報を伝えなければならない使命があります。
              地域の人が力を落としている時に一緒に気持ちを共有し寄り添うことが役目。
              なくしてはいけないし、時代と共にカタチを変えながらとにかくエフエムさがみを存続させていきたいです。
            
        
          
                