お札、缶詰、壊れたポット、家具、ペット・・・果ては自邸「ニラハウス」に至るまで、日常生活を構成するあらゆるものを独自の視点と観察行為によって〈梱包〉や〈トマソン〉に代表される「作品」へと昇華させてきた美術家・赤瀬川原平。
自身と娘の生活をテーマにした『肌ざわり』や父の死により墓所を見学する様子を描いた『父が消えた』によって、私小説作家として文壇に登場した作家・尾辻克彦。
実は同一人物である美術家・赤瀬川原平と作家・尾辻克彦の創作の根底には、冷静な観察者としての姿勢と、「価値の転換」「日常の異化」への共通した意識があります。
それらは、辞書の用例の中に個性を見出し、愛すべき人格を与えた『新解さんの謎』や、もの忘れや脱力を積極的に肯定する「老人力」シリーズなどのエッセイを通じて顕在化し、常に新しいユニークな「ものの見方」を我々に提示してきました。
本展では、美術家であり作家である以前に、ひとりの意識的な生活者として、日常の中に潜むナゾに真摯に向き合い、常識を疑う姿勢を貫く希代の創作者の「創造の秘密」に迫ります。
会期:2014年10月18日(土)~12月21日(日)10:00~17:00(毎週金曜日は20:00まで開館)
(休館日毎週月曜日(11/3、11/24を除く)、第2木曜日)
場所:町田市民文学館ことばらんど
詳細:町田市民文学館ことばらんど